障がい者の結婚に関する意識調査

2017.9.5

  • 生活
  • 意識調査
  • 障がい者
対象障がい:
  • 身体
  • 精神
  • 発達
  • 知的

実施の背景

内閣府の発行している「平成25年度 障害者白書」によると、配偶者がいない割合(未婚率)は、身体障がい者が約35%、精神障がい者が約64%、知的障がい者が約97%と健常者の約26%と比較して突出して高い割合になっています。世の中には結婚に関する調査は数多く存在していますが、障がい者に焦点を当てた調査はこれまでほとんど実施されてきませんでした。本調査は、障がい者の結婚の実態やその意識について明らかにするために実施しました。

  • 対象者

    障がい者総合研究所
    アンケートモニター

  • 実施方法

    インターネット調査

  • アンケート期間

    2017/6/9~2017/6/14
    有効回答者数:478名

調査結果

<サマリー> [1] 結婚の有無に関して、未婚の割合は7割を上回り、障がい別の未婚者は精神障がい者が身体障がい者に比べ約1.2倍高い結果となった。
※障がい区分に関しては8ページ以降の回答者属性をご参照ください。

[2] 結婚願望の有無については、66%が「いずれ結婚するつもり」と回答し、障がいによる違いはみられなかった。

[3] 結婚を決断、もしくは結婚生活を営む上で、「障がいが支障になる」と考える未婚者は既婚者に比べ約3倍多く、既婚、未婚ともに精神障がい者が「障がいが支障になる」と考えている割合が高かった。

[4] 障がい以外で結婚する際の障壁となることは、既婚者では「職業や仕事上の問題」、未婚者では「結婚資金」が高い割合となり、精神障がい者がその傾向は顕著であった。

[5] 恋愛と結婚は「違う」と回答した人は約6割であった。理由として、恋愛は感情的なものに対して、結婚は責任や障がいに対する理解が必要であるという意見がみられた。

※調査の概要は右上のプレスリリースをダウンロードし、ご覧ください。

<健常者と障がい別の配偶者の有無>

※内閣府『平成 25 年度 障害者白書』、統計局『平成 27 年 国勢調査』を元に作成

サマリー[1]
結婚の有無に関して、未婚者は7割を上回り、精神障がい者の未婚率は身体障がい者に比べ、約1.2倍高い傾向

結婚の有無について聞いたところ、未婚者は74%となり、既婚者は26%に留まりました。また、身体障がい者と精神障がい者で未婚の割合を比較したところ、精神障がい者は81%、身体障がい者は67%と精神障がい者は未婚の割合が身体障がい者に比べ、約1.2倍高い結果となりました。

現在、ご結婚されていますか。

サマリー[2]
結婚願望の有無については、66%が「いずれ結婚するつもり」と回答、障がいによる違いはみられず

次に、未婚者に結婚願望の有無について質問しました。その結果、66%が「いずれ結婚するつもり」と回答し、34%は「一生結婚するつもりはない」と回答しました。身体障がいと精神障がいで結婚願望の有無について比較を行いましたが、差は1%以内で障がいによる違いはみられませんでした。

ご自身の一生を通じて考えた場合、あなたの結婚に対するお考えは次のうち、どちらに該当していますか。

サマリー[3]
結婚を決断、もしくは結婚生活を営む上で、「障がいが支障になる」と考える未婚者は既婚者と比べ約3倍多く、既婚、未婚ともに精神障がい者が「障がいが支障になる」と考える割合が高い

結婚を決断、または結婚生活を送る上で、自身の障がいが支障になるか既婚者、未婚者に質問しました。既婚者で「支障になった(なっている)」と回答した人は25%であったのに対して、未婚者では71%が「支障になる」と回答し、未婚者は既婚者に比べて約3倍多いことが分かりました。また、障がい別で比較すると、既婚者、未婚者ともに精神障がい者が、「障がいが支障になる」と考えている割合が高いことが明らかになりました。

ご結婚を決断、または結婚生活を送る上で、あなたの障がいは何らかの支障になりましたか?
もしくはなると思いますか?

<既婚者>

<未婚者>

<支障になる理由:フリーワードより抜粋>

身体障がい
■聴覚障がいのためコミュニケーションが健常者と比べて劣る。聞き返すことが相手にとって苦痛になるのではないか(20代/男性)
■行動が制限されるため、私ではなく健常者の方とお付き合いしたほうが、相手の幸せになるのではないかと考え込んでしまう(30代/男性)
■子供を産めない(30 代/女性)
■一般の車では無理なので福祉車両になる。セックスの際に自分が骨折する危険がある(40 代/女性)
■障がいの理由を伝えるために、病気について話をしたら、無理と言われた(30 代/女性)
■再発して仕事ができなくなるかもしれず、最悪は早期に死んでしまうかもしれないから(40 代/男性)

精神障がい
■空気が読めない。身なりを気にしないなどを容認してくれないと続けられないと思う(30 代/女性)
■発達障がいなので相手に理解されない。遺伝のことなども考えると相手や子孫にこの障がいを押し付けることが良いとは思えない(40 代/男性)
■自分は発達障がいでコミュニケーションに問題があり、知らず知らずのうちに相手を傷つける場合がある(30 代/男性)
■対人関係において勘違いや不愉快にさせてしまうことが多く、交際相手にも同じことをしてしまうと思うので(40 代/男性)
■仮に誰かと付き合っても障がいをカミングアウトすれば別れに繋がりそう。遺伝するかもしれない障がいだから結婚はしてくれなさそう。子供がいらない人を探すしかない(20 代/女性)
■イメージ的に感情の起伏や落ち込みが激しいのではないかと思われること(40 代/男性)
■対人恐怖により外出を今は避けたいなど、理解がないと付き合うまで至らないと思う(40 代/男性)
■先の約束をしても、その日の体調を見ないと約束を守れるか分からない(30 代/男性)
■お相手を養っていけるだけの収入を確保できない(40 代/男性)
■体調を崩しやすく、自分に合った仕事がなかなか無い。経済的なことや、精神・肉体面で不安がある(40 代/男性)
■自分の障がいで、好きになった人の人生にハンディを加えたくないから。また、自分の収入が低いため、結婚を考えた交際は躊躇するから(30 代/男性)
■すごい自分を飾るところがあるので、一緒にいる時間が長くなると、ボロが出るから(30 代/男性)

サマリー[4]
障がい以外で結婚の最大の障壁となるのは、既婚者は「職業や仕事上の問題」、未婚者は「結婚資金」、その傾向は身体障がい者に比べて精神障がい者が顕著

結婚する際に障がい以外でハードルとなることは、既婚者では、「職業や仕事上の問題」、「特にハードルがない」、「健康上のこと」が上位だったのに対して、未婚者では、「結婚資金」、「職業や仕事上の問題」、「健康上のこと」が上位となりました。また、この結果は身体障がい者に比べて精神障がい者のほうがより顕著に現れました。

ご結婚する際に障がい以外の点でハードルになると思うことは、ありましたか。

<既婚者>

<未婚者>

サマリー[5]
恋愛と結婚は「違う」と約6割が回答。主な理由は、恋愛は感情的なもの、結婚は責任や障がいに対する理解が必要

恋愛と結婚の違いについては、「恋愛と結婚は違うと思う」と回答した方が約6割となりました。この傾向は障がい別で比較しても1%以内の範囲内であり、障がいによる違いは見られませんでした。「恋愛と結婚は違う」と考える主な理由としては、恋愛は感情的なものに対して、結婚は責任や障がいに対する理解が必要であるということが挙げられました。

あなたの恋愛と結婚に対するお考えは、次のうちどれですか。

<フリーワードより抜粋>

■恋愛は自立していなくてもできるし責任を伴わない。結婚は自立していくことが必要で、相手に対して責任が伴う(男性/30 代/身体障がい)
■恋愛はただ好きだけで何とかなる。結婚には生活すべてに責任がある(男性/40 代/身体障がい)
■恋愛はその時だけ楽しかったら良いという感覚。結婚は高齢になってからも付き合うので、ある程度責任が必要。障がい者に対してそこまで責任を持ってくれる人は中々いないと思う(女性/40 代/身体障がい)
■結婚するのなら私の病気を理解して結婚して欲しい。恋愛中の場合は、まだ伝えなくても良いと思っている(男性/40 代/身体障がい)
■結婚は相手と一生を共にし合うことだから、恋愛では見えてない負担が生じる(男性/50 代以上/身体障がい)
■結婚すると、自分が決して見られたくない所まで見られる気がする。体調が優れなくても家事をしなければならないなど、家庭内の負担が独身の頃よりも多くなると思う(女性/30 代/精神障がい)
■障がいや病気について、相手だけでなく、相手の親兄弟の理解や、時にはサポートが必要となる点。また、いくら理解があっても生活で実際に不便を感じると結婚生活や妻としての私に不満が出てくると思うので、結婚と恋愛は違うと思う(女性/40 代/精神障がい)
■結婚には責任が伴い、自分とパートナーだけの感情的な問題だけではなく、パートナーの家族も関わってくる(女性/40 代/身体障がい)
■結婚となると恋愛関係のときとは違い、双方の家族などの付き合いが生じる。私が不調で休みたいときでも、家族が遊びに来たり、面倒をみなければならないこともある。また、お互いの仕事や健康状態が安定して、金銭かつ生活全般に問題がないときは良いが、配偶者の状況が結婚前後で変化した場合には、関係が変わることも…。実際、とかく人生が上手くいかないことについて、私の障がいを理由にされたりもした。恋愛であれば、別れてしまえばそれで済むが、結婚となると恋愛のようには簡単にはいかない(女性/40 代/身体障がい)

回答者属性

回答期間 : 2017年6月9日~6月14日
調査方法 :インターネット調査
有効回答数:478名

<障がい区分>

回答者が取得している障害者手帳の種類で障がいを区分しました。知的障がい者の回答数が少ないことから、障がい比較を行う際には「身体障がい」と「精神障がい」の2区分で比較しています。 本調査で精神障がいと区分した障がいの内訳は下記の通りです。

<性別>

<年齢層>

<障害者総合研究所所長中山伸大からのコメント>

前野 哲哉 氏

今回の調査は、障がい者の結婚に関する意識や実態を明らかにすることを目的に実施しました。

調査対象者のうち、結婚していない人の割合は74%。この方々に今後の結婚の意思を尋ねたところ、66%は「いずれ結婚するつもり」、34%は「一生結婚するつもりはない」と回答しています。一般向けに実施された同様の調査(国立社会保障・人口問題研究所「第15 回 出生動向基本調査」)では、「一生結婚するつもりはない」と回答した人の割合は2015 年時点で男性12%、女性8%であり、今回の調査対象者である障がい者の34%との間に、大きな開きが見られました。そこで、障がい者の3 割以上が結婚を希望しない背景について考えていきたいと思います。「結婚を決断、または結婚生活を送る上で、障がいを支障に感じるか」という質問に対しては、結婚している人と結婚していない人で大きな差が見られました。結婚している人では75%が「支障にならない」と回答しているのに対し、結婚していない人では29%に留まります。逆説的な見方をすれば、「結婚前に支障を感じなかったため結婚できた」とも言えますが、もう一方では「結婚後に支障とならないようなことに対しても、結婚していない人は支障だと感じ、結婚を躊躇している」とも推測できます。さらに、「障がい以外の点で結婚のハードルになること」についても質問したところ、ここでも結婚している人と結婚していない人で傾向に違いが見られました。結婚していない人のうち60%が「結婚資金」、55%が「職業や仕事上の問題」を結婚へのハードルとして挙げています。これらは経済的な問題が結婚への障壁となっていると言え、障がい者の労働賃金の低さが背景にあると考えられます。一方で、結婚している人は「職業や仕事上の問題」を挙げる人が多いものの32%と数値は下がり、29%は「特にハードルはなかった」と回答しています。

最後の設問では、「恋愛と結婚は違うと思うか、同じだと思うか」を尋ねました。その結果、「違うと思う」という人が過半数を超え、恋愛と結婚を別物と捉えている人が多いことが分かりました。別物とする理由では、恋愛は感情的なものであるが、結婚は責任をもって関係性を継続する必要があると捉えているようです。このような結婚観も、結婚への心理的な障壁になっていると言えるでしょう。

障がい者の結婚に関する意識調査

発行・監修
株式会社ゼネラルパートナーズ 障がい者総合研究所
〒104-0031 東京都中央区京橋2-4-12 京橋第一生命ビル3F
TEL: 03-3548-8052 FAX:03-3270-6600 Mail: sri@generalpartners.co.jp URL: http://www.gp-sri.jp/
発行日
2017年7月
お問い合わせ先
研究員 小牧秀太郎

※本調査結果の引用の際は、「株式会社ゼネラルパートナーズ 障がい者総合研究所調べ」とクレジットを明記ください

≪株式会社ゼネラルパートナーズについて≫

障がい者の良き認知を広め、差別偏見のない社会を実現することを目指し、民間企業初の障がい者専門の人材紹介会社としてスタート。その後、業界初の転職サイトatGPの開設をはじめ、障がい別の専門的なプログラムが受けられる教育・研修事業、就労困難な障がい者による農業生産事業など、数々の事業・サービスを創出してきました。これまで生み出した障がい者の雇用数はのべ5,000人以上です。

会社名
株式会社ゼネラルパートナーズ
代表者
代表取締役社長 進藤 均
URL
http://www.generalpartners.co.jp/
本社所在地
東京都中央区京橋2-4-12 京橋第一生命ビル3F
設立日
2003年4月
事業内容
障がい者の総合就職・転職サービス(求人情報サービス、人材紹介サービス、就労移行支援事業、就労継続支援A型事業)
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